自治のまちづくり条例賛成討論(維新に反論)
2016-10-13


自治のまちづくり条例に対する賛成討論(原稿)です。
 1)、3)、4)、5)、が「維新の会」の意見に対する反論です。
 

自治のまちづくり条例案に対する賛成討論
2016年10月5日
                      
緑のかけはし   酒井 一

1) 「市民」の定義が問題とされました。
○ そもそも、憲法にも地方自治法にも法的な定義はありません。
  あるときは、納税者 住民 通勤 通学 有権者 事業者 ・・・。条例ごとにその趣旨や目的に応じて定義され、又は解釈されます。

○ 議会基本条例案における「市民」の定義との齟齬を懸念するとの主張もありました。これも条例ごとに定義されるもので、何の問題もありません。

「自治のまちづくり条例」においては、地域社会の抱える問題の解決やまちづくりに取り組む主体として「市民等」を定義します。
具体的には
市民=住民 在勤 通学 (図書館の利用者規定とおなじ)
事業者
市民活動団体等=地縁型団体と公益目的の団体が例示されています。

○ この「市民活動団体等」の概念について、そこにさまざまな要求や政治的活動をする団体を想定して、「それらを排除すべき」との主張をする向きがありました。
しかしこれは、まったく不当な考え方です。
そもそも、民主主義社会では、政治的要求や主張といえども全体の利益、公益を目的としているはずです。
たとえ、政治的要求や主張の中に、見る人によっては偏ったと思われるものがあったとしても、直ちに排除されるべきではなく、参画を保障した上で、議論の後、その主張の公益性、逆に偏りの度合いに応じて肯定されたり、否定されたり縮小されたりするべきものです。
それが民主主義の原理です。「貴方の主張に同意はできないが、貴方がそれを主張する権利は守る」ということです。
何もこの条例ではじめて言い出されたことではありません。

2) 市民参加、市民の協力、市民の自覚 
○ 「市民」に市政への協力を強いることに懸念を示す意見もありました。
 市民等に市政への参加、共同作業を求めることはこの条例の本来の趣旨の一つです。
他者への理解に基づく責任ある発言や行動を求めているのであって、民主主義社会の成員として当然求められる姿勢です。

 ○ どちらかと言うと、市長等や職員の市民参加に向けた努力が重視されていて、情報共有や提供が求められており、市民と市長、双方のバランスの取れたものになっていると私は考えます。

3) 左翼勢力
 ○ 「左翼勢力」が推進している「新種の革命」という非難もありました。
「左翼勢力」という煽情的な言葉遣いが発言者の時代遅れな思想を表しています。この条例を古臭い左右対立図式の中に位置づけることは適当ではありません。
ましてやその具体的な対象が「自治労」=「自治総研」であるにおいては「何をかいわんや」です。自治体職員の労働組合が、(否定的意味合いをこめて)「左翼勢力」などと呼ばれた例を私は他に知りません。
そもそも、政策というものは、誰が言ったかが問題なのではなく、言われている中身のよしあしで判断すべきなのではないのでしょうか。

○ 左翼勢力の推進の証拠として「全国どこの自治体の自治条例もパターン化している」とも言われました。 
しかしこれは、市民自治、市民参加の推進が真っ当な時代の流れであることの証しであるに過ぎません。
自民党のパンフレット「ちょっと待て、自治基本条例」が敵視している「松下圭一理論」すなわち「補完性原理」や、「段階的委任論」など、政治権力を個人の主権から出発して説明する考え方も現に存在し、一定の支持を得ていることは確かです。私も傾聴に値する理論だと思います。

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